松くい虫による松枯れが流出に及ぼす影響
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概要
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温暖少雨地帯にある竜の口山試験地の北谷(17.3ha)と南谷(22.6ha)では流域試験が続けられている。近年の北谷の植生はおもに広葉樹天然林であるが, 南谷はその69%を占める20年生のクロマツ人工林が松くい虫被害を受け全滅した。そこで松枯れによる流出量の変化について, 基準流域法により解析した。年流出量は約110mm増加した。基底流出量は, 冬季が1.5倍に, 夏季が2.0倍に, 年間を平均すると1.7倍に増加した。ピーク流出量は, 増加の傾向があったが, その値が4mm/hr以上のものについては変化が認められなかった。日流出量は, その値の大きさによって増加の程度が異なっていた。すなわち, 南谷の日流出量は, 北谷の日流出量が0.5mm/day以下の場合, その増加割合が基底流出量と同じであったが, 3mm/day以上の場合1.2倍の増加を示した。0.5〜3mm/dayの範囲では, 流出量の増加に伴い増加割合が減少した。以上の流出量増加の傾向は, 松枯れによる蒸発散量の減少にその原因があると説明された。
- 日本森林学会の論文
- 1985-07-25
著者
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