一次元鉛直不飽和浸透によって生じる水面上昇の特性

概要

論文の詳細を見る
リチャーズの式に土壌物理条件を組み込んで導びかれた無次元化された基礎式を用いて, 不飽和土壌内での水面上昇の特性を理論的に検討した。底の閉じた土壌柱の表面に一定強度で水を供給するものとし, 初期条件は平衡状態とした。水面上昇に関係する物理条件は3個の無次元パラメータに整理された。αは, 比水分容量を最大にする圧力水頭の値の土壌の厚さに対する比で, 水保持特性を表わす。βは, 不飽和領域における透水性の減少の程度を表わす。γは, 飽和透水係数の水供給強度に対する比である。時間の無次元化のための基準量は, 水面が土壌柱の表面へ到達するに要する時間を用いた。水面上昇の特性は, これらのパラメータの効果によって調べることができた。水面上昇の時間変化は, γが無限大に近づくとαのみによって決定される曲線で表わされ, γが有限の場合, その変化はこの曲線に対して遅れをもつ。αが小さく, またはβが大きくなるとこの遅れは大きくなる。このような水面上昇の遅れは, 伝達帯の水分量が大きく, 拡散効果が小さくなることに基づくことがわかった。
一般社団法人日本森林学会の論文
1982-11-25