小笠原諸島の暗赤色を呈する森林土壌について(I) : 環境条件, 形態, 粒径組成, ならびに一般化学性について
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概要
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湿潤亜熱帯に属する小笠原諸島にはB層以下が暗赤色を呈し, 林野土壌分類の暗赤色土群に相当する土壌が広く分布することを認めた。暗赤色土群については今なお成因について不明な点が多い。小笠原諸島の暗赤色土はその生成条件を解明する好個の材料と考えられる。本報ではその前段階として環境条件や化学性の面から研究を進め, 以下に要約される知見を得たので報告する。1.火山系ならびに塩基系暗赤色土が認められた。2.本土では蛇紋岩や石灰岩, 火山性焼けから生成される暗赤色土が, ここではその他の母材からも生成されている。3.塩基系暗赤色土とみなされる土壌はいずれもきわめて埴質で, 下層ほど粘土量を増す。4、塩基系暗赤色土は塩基量が多く, 塩基飽和度は50%を越え, pHが高い。一方火山系暗赤色土は酸性が強く, 酸度もきわめて高く, 塩基飽和度も低い。5.火山系暗赤色土以外の土壌の置換性塩基は母材の特性を反映し, 石灰岩質のものではカルシウムが多く, その他はマグネシウムが多い。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1981-01-25
著者
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