マツノザイセンチュウの接種による当年生アカマツ苗の発病とその病態解剖
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概要
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は種後170日目のアカマツ苗に対し, 胚軸の切り込みにはさんだ濾紙片に線虫懸濁液を滴下する方法で接種を行なった。接種直後の樹体内侵入線虫個体数は平均61頭であった。接種後3日目, 線虫は接種点付近に多く, 周辺の樹脂道, 形成層, 篩部, 皮層各組織へ直接侵入していた。6日目, 胚軸の樹脂道における線虫生息, エピセリウム細胞の破壊の進行は, 時間的経過にともなう線虫の生息域拡大を示していた。また, 樹脂道を経路とした形成層, 篩部, 皮層への線虫の移動が観察された。9日目, 接種苗は胚軸横断面による観察で樹脂滲出停止, 皮層, 形成層の一部褐変という明らかな病徴を呈したが, この時期樹体内の線虫個体数の増加は著しかった。胚軸, 根における組織破壊も顕著であった。12日目には線虫生息, 組織破壊の進行は上胚軸にもおよんだ。上胚軸先端の下垂という特徴的な病徴がこのころからあらわれた。針葉の変色, 萎凋は18日目以降に起こった。樹体内の線虫個体数は18日目ごろまでにピークに達したあと減少した。線虫による組織破壊によってできた空洞に, 接種後6日目から観察された細苗集団は病状の進展とともにその存在がますます顕著になった。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1980-05-25
著者
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