マツノザイセンチュウ接種によるマツ樹体の初期反応と病状進展
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概要
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感染初期における発病経過との関連で, マツノザイセンチュウの役割を評価するため接種実験を行った。接種後経時的に接種部位 (=接種枝) をとり除き, その後の発病経過を追った。4年生のアカマツ, クロマツ苗では, 24時間後の接種技切除でも発病, 枯死がみられたが, 3日目以後の切除の場合と比べ, 病状進展は明らかに遅れた。9年生のクロマツでは, 24時間後切除で枯死するものはなかったが, 3日目以後の切除では, 無切除の場合と変らない発病経過を示した。接種後24時間, 3日目とそれぞれの時期において, 接種枝から樹体各部への線虫の移動分散が確認されたが, その数はきわめて少なく, また両時期の間での差も認められなかった。一方, 接種後の時間・経過とともに, 接種枝における組織の病態反応はより進行し, 接種3日後では24時間後におけるよりも, 柔細胞のえ死などについて組織異常の進行は明らかであった。以上の結果から, 接種後3日目では, 接種枝以外の樹体部分にその後の病状進展につながる病態反応があらわれていたこと, 24時間後ではそれが十分でなく, 接種技切除によって発病経過が遅れたり, またそれ以上の進展にいたらなかったことが推測された。樹木力線虫の個体数や分散状況から, こうした病態反応が, 接種部位周辺における侵入線虫の定着や活動の影響によって起こるものであり, その反応の程度が時間的経過とともに進行するとの推論を得た。
- 1985-12-25
著者
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