スギにおける不稔種子の形成
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概要
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スギの他家, 自家, 無受粉の各胚珠からできる不稔種子の形成過程を組織学的に調べた。他家, 自家受粉胚珠では, 受粉から受精に至る雌性配偶体の発育過程で, つぎの四つのタイプの発育異常が観察された。(1)胚のう細胞の早期退化(全胚珠数の1.4%), (2)遊離核期の初期に現われる雌性配偶体の異常(3.4%), (3)遊離核期の終りに始まる雌性配偶体の退化(11.4%), (4)発育終了直前に現われる雌性配偶体の異常(21.5%)。自家受粉胚珠では, このほかに胚形成の過程で, 胚の退化(36.4%), 発育異常(6.7%)が観察された。無受粉胚珠では, 珠皮は正常に発育するが, 雌性配偶体はほとんど発育しなかった。完熟時の不稔種子の形態は, 雌性配偶体の退化時期と密接な関係にあることがわかった。以上のことから, スギの不稔種子の形成は雌性配偶体の発育異常にもとづくものであると考えられる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1978-01-25
著者
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