ヒノキ精英樹の細胞学的研究 : ヒノキとサワラの種間雑種と考えられる富士2号の細胞学的観察
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概要
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ヒノキの精英樹として選抜された富士2号は外部形態がヒノキとサワラの中間型を示す部分が多い。それで, 体細胞染色体, 花粉母細胞分裂における染色体の行動および花粉稔性などについて調査した。その結果, ヒノキ, サワラのいずれともかなり大きな差異のあることが認められた。すなわち, 第一分裂中期における染色体の対合型は8_<III>+3_<II>+3_Iが最も多く, 移行期には一価および二価染色体が主核に先がけて移行するものと核板付近に残存するものとがあった。残存した染色体の多くは第二分裂後小核を形成する場合が多い。したがって, 花粉四分子期には五, 六分子などが見られた。二分子, 三分子も見られたが, これらは第二分裂中期での分裂異常によって形成されるものと考えられた。花粉の大きさはヒノキ, サワラの中間であったが分布の幅が広く不ぞろいであり, 稔性はきわめて低かった。体細胞染色体では, ヒノキ, サワラとも2n=22であるのに対し, 富士2号は2n=33と算定され, これは減数分裂の結果とも一致した。また, ヒノキの第6染色体に相当する染色体が2本とサワラの第8染色体に相当する付随体を有する染色体が1本確認された。これらの調査結果から本供試木は両種に起因する雑種ではないかと考えられた。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1977-06-25
著者
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