スギの半兄弟家系別苗木の寒さによる被害の違い
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概要
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主として精英樹から得た36の半兄弟家系の2年生苗を1972年に寒害発生の常習地である関東林木育種場内のほ場に定植し, 耐寒性の直接検定を行ない被害の程度をしらべた。1973年冬は例年よりも著しい寒害が発生したので, 定植2年後の1974年5月に調査を行なった。被害の認められた個体は全体の50%に達した。そのうち凍害は5%以下で, 残りは寒風害による被害であった。生長量と被害の関係をみると, 全家系をこみにした場合, 凍害は小さた苗に多く, 寒風害は逆に比較的大きな苗に多いという傾向を示した。しかし, 各家系平均苗長との間にはこのような関係は認められなかった。家系間の被害頻度は5%の危険率で有意差が認められた。また, 家系間から推定された耐寒性のせまい意味の遺伝率は60.2%という高い値を示し, 今後耐寒性のための育種を進めてゆくにあたって, 明るい見通しを得た。
- 日本森林学会の論文
- 1976-02-25
著者
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