自然受粉種子から得られたスギ苗木の遺伝率と選抜効果
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概要
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(1)スギの自然受粉種子により母樹家系別の満1年生苗木を育成し, 模型精英樹の選抜対象集団とするため単木混交で植栽した。(2)植栽から3生長期経過後, 模型精英樹13本の選抜と対照個体29本の抽出をおこない, 同時に高さと根元直径について遺伝率を求め選抜効果を予測した。(3)模型精英樹8本と対照個体12本から自然受粉種子が得られたので, 家系を明らかにして, 選抜対象集団と同じ方法で次代集団を設定した。(4)次代集団が選抜対象集団における模型精英樹の選抜時と同齢に達したとき, 各家系の高さと根元直径の平均値を求め, 精英樹家系群と対照家系群とを比較した。この結果, 両群間に差はなく, 選抜効果は認められなかった。(5)家系内個体変動は, 精英樹家系群のほうが対照家系群より大きい傾向にあり, また, 次代集団は, 選抜対象集団よりも全変動量および遺伝率が小さかった。(6)選抜対象集団の遺伝率から予測された選抜効果が実際に得られなかった理由は, (5)のことから優性効果の大きかったためと考えられる。(7)優性効果が大きく生じた原因は, 選抜対象集団内の個体に, 産地を遠くへだてた精英樹間交配により得られたものが多く含まれるためと考えられる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1982-01-25
著者
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