丘陵地および上部山地の森林下における落葉分解過程

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温帯地方の森林は, 丘陵地ではアカマツ林, アカマツ・コナラ林, 上部山地ではブナ林, ブナ・ミズナラ林で代表される。丘陵地の森林下にはL-F型, 上部山地にはL-F-H型のA_0層が, それぞれ, 安定した発達を示している。両地域における, このようなA_0層発達の特徴を解明するため, 代表土壌7点あて選定し, 分析を試みた。その結果, L→Fの分解過程では, 両地域とも炭素濃度の減少, 窒素濃度の増加, 腐植酸のわずかな増加, フルボ酸の減少が認められるが, 酸性は丘陵地では弱まり, 上部山地では強くなり, 置換性石灰は丘陵地では増加し, 上部山地では減少している。上部山地におけるF→Hの分解過程では, L→Fの変化傾向が, さらに強調されている。また, A_0層直下の表層は, 丘陵地では腐植の蓄積が少なく, 塩基類に富み, 上部山地では, 反対に酸性が強く, 腐植に富み, 塩基類に乏しい特徴がある。したがって, 落葉分解過程からは, 丘陵地では有機物の無機化作用が優越し, 上部山地では腐植化作用が優越しているとみてさしつかえない。このような差異は, 樹種や局所地形の特徴というよりは, 垂直的な気候環境の差異に, 本質的に支配されているものとみている。
一般社団法人日本森林学会の論文
1976-12-25

丘陵地および上部山地の森林下における落葉分解過程

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