スルファミン酸アンモニウム水溶液の林木の葉への付着について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アカマツとスギの針葉の, 噴霧した除草剤溶液の付着に関する性質を明らかにするために, スルファミン酸アンモニウム(AMS)の水溶液などの付着量を測定した。そして, 付着量の多少, あるいは葉のぬれかたの難易と密接な関係を持つ, 葉面と噴霧液滴との接触角を測定し, これに影響をすると考えられる葉面の二, 三の性質について調べた。また, AMSによるアカマツとスギの薬害の進みかたについても調べた。(1)噴霧液の付着量はアカマツよりもスギの針葉に多く, 展着剤Tween 20を加えると付着量は少なくなる(図-2,3)。また, 液滴の接触角は, アカマツよりスギの針葉において大きく, 展着剤を加えると小さくなる(表-1)。したがって, アカマツとスギでは, 接触角の大きさと付着量の多少とは密接な関係があるようで, 接触角が小さいほどぬれやすく, また付着量は少ない。(2)両樹種の葉面にはワックスが存在しているが(表-2), これを除去した葉面での接触角は樹種のあいだで差がない。しかし, 単離したワックス膜における接触角はスギで大きい。また, 葉面ワックスの形は(写真-1〜6), アカマツでは比較的平滑であるが, スギでは網目状をしている。したがって, 両樹種の針葉における接触角のちがいは, おもに葉面ワックスの化学的組成とその形によると考えられる。(3)噴霧処理したAMSによる薬害はアカマツで早く進む。また, この3%水溶液に展着剤を加えると, 両樹種ともに薬害はいっそう早く大きくなる(図-4,5)。したがって, 両樹種のあいだでの, AMSによる薬害の進みかたのちがい, また, 展着剤の効果は付着量の多少とは別の因子によるらしい。
- 日本森林学会の論文
- 1972-01-25
著者
関連論文
- アカマツおよびスギ針葉におけるスルファミン酸アンモニウム(AMS)の浸透ならびに移行に関する研究
- 物質の浸透に影響するアカマツおよびスギ針葉の形態学的研究
- 葉面ワックスの微細構造と葉の濡れ
- スルファミン酸アンモニウム水溶液の林木の葉への付着について
- ミクロラジオオートグラフによる亜硫酸ガスのアカマツの葉への侵入経路
- 27. 亜硫酸による植物被害の研究(1)(中部支部講演会講演要旨(その2))
- 326. 2、3の樹種の葉に及ぼすSO_2害について(第76回日本林学会大会講演要旨)
- 大気汚染物質の植物に対する影響(第1報) : 植物中の重金属類の分布と影響
- 1.煙害と林木生理 : ことにSO_2ガスによる林木の諸生理障害(第10回林木生理シンポジウム)("異常環境と林木生理")
- 防潮林の潮風濾過に就て(豫報)
- (28) 海岸附近に於ける潮風中の鹽分分布に就て
- 大気汚染物質の植物に対する影響(第7報) : 緑地帯,街路樹帯の土壌中の金属含量
- 大気汚染物質の植物に対する影響(第5報) : 緑地帯,街路樹帯の樹葉中の金属含量(その3)
- 大気汚染物質の植物に対する影響(第4報) : 緑地帯,街路樹帯の樹葉中の金属含量(その2)
- 大気汚染物質の植物に対する影響(第3報) : 緑地帯,街路樹帯の樹葉中の金属含量(その1)
- 夏期における数種の木本植物に対するO_3接触試験
- 大気汚染物質の植物に対する影響(第6報) : 樹葉中の金属元素の含有量レベルの統計処理による考察
- ヒノキ壮齢林下のケネザサに対するアンメート除草剤の効果