キリの日肥大成長曲線〔III〕 : 成長休止期間中の変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
前報につづいて1956年の秋から翌年春までの成長休止期間中のキリの樹幹半径の変動曲線をしらべて次の事柄を認めた。使用した鏡成長計の拡大倍率は約14,000倍であつた。1. 曲線は昼夜の別なく平滑である。2. 1日の変動量は少なく, 夏の昼間の一時的のでこぼこの高さくらいである。3. 天候によつて曲線の形に差は認められず, 1日の変動量が雨の場合は正, 晴天のときは負となつた。4. 曲線の上り下りに時間的の傾向はなく, むしろ湿度との間に次の関係が認められた。すなわち, 湿度が80%以上の時曲線は上昇し, 60〜80%の時ほとんど変化せず, 60%以下の時に幹はちぢむ。従つて冬の間幹は外囲の水分によつてその太さを変じていると思われる。5. 気温が0℃以下に下る日には, 曲線は朝5時ごろから急に下降し, 7時半ころ, まだ気温が0℃以下のうちに急に上昇しはじめ, 9時ころ元にもどる。6. この突然の収縮は気温が-5℃以下の日に特に大きく, 最大のものは0.17mmに達した。これは夏の1日の成長に匹敵する量である。7. 伐採した幹を低温にさらした場合にもこの収縮は現われる。従つてこれは低温によつて起る現象だと思う。1年中の曲線を通じて認められるのは次の諸点である。8. 幹の肥大活動は年平均気温が大体10℃になるころを境として終始する。9. 2本の木の半径は常に平行的に変化している。10. 成長以外の幹径の変動はすべて樹幹内外の水分変化に起因するものである。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1958-09-25
著者
関連論文
- キリの日肥大成長曲線〔II〕 : 成長期間中の変化
- 312. 低温におけるマツ樹幹の収縮
- 117. サンブスギの立木材積表(第74回日本林学会大会講演要旨)
- 715.クロマツ幹径の時間変化(経営)(第71回日本林学会大会)
- 203 数種の樹幹の寒冷収縮(S)(第77回日本林学会大会講演要旨)
- 502. 北関東の一地域における素材の落札価格(第76回日本林学会大会講演要旨)
- 218. ポプラの幹径の時間変化(第75回日本林学会大会講演要旨)
- 抵抗線歪計による幹の半径変動の測定
- ○南部イリノイ州Shortleaf Pineの材積表
- 311 断面積曲線による林分の求積(予報)
- 九十九里海岸における低地過湿林の状況 (第5報) : 25〜30年生のアカマツ林分について
- キリの日肥大成長曲線〔III〕 : 成長休止期間中の変化
- キリの日肥大成長曲線〔I〕 : 鏡成長計について
- ダイオウマツの成長に関係する土壤および気候因子
- 締めつけられたキリの幹の肥大成長