林木の葉のSLAに関する研究(III) : シラカンバ模型林における葉の比面積と季節・庇陰の関係(承前)
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概要
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前2報に続き照度と比面積の関係を調べた。シラカンバ高密度模型林および庇陰格子下に植栽した林分群から1カ月間隔でサンプルをとり, 相対照度と比面積を下記の式に回帰させた。log SLA(cm^2/g)=b log RLI(%)+log aこの追試実験の結果, 1971年の成果の大部分が充分に確認され, 一部は問題がさらに明確になったので, 前報にまとめた知見に以下の追加あるいは表現の修正を行なう。1)相対照度-比面積回帰線の傾きの季節変化の中凹は無庇林の場合のみならず庇陰林に, 庇陰林最上層にも共通して見られ, 変化の傾向および程度はおおむね同じである。2)1971年・'72年の回帰分析の繰り返しは無庇林・庇陰林・庇陰林最上層を通じて一部例外を除くと全く一致するといってよい。例外の場合でも回帰線の傾きは同じ値になる。すなわち程度の少ない平行移動型で分離する。3)両年の結果の一致と両年の林分条件のちがいから葉の対照度反応, すなわちこの場合比面積の変化は急速かつ厳密に起こり, 照度以外の影響は殆んど受けないことが確認された。4)オチコミ現象および収束化現象はおおむね常に共存し, かつ庇陰林にも起こる。そしてオチコミ開始点照度は林分に与えた庇陰処理の程度が強いほど低く, 葉量の分布構造上の変化点にあたる層の照度に等しいことがわかった。5)庇陰林群の回帰線の平行移動現象は表面的には全く前報の結果通りであったが, むしろオチコミ部以下の回帰関係は庇陰処理を問わず一定であると解した方がよいかも知れぬ。6)したがって, 相対照度-比面積関係をとらえるには, 林冠最下層から葉量分布上の変化点まで, およびそれ以上の2つの部分に分けて直線回帰させるのがよかろう。すなわち折れ線回帰である。一つの傾向線で関係の全域をカバーする場合にも直線回帰よりむしろ両対数軸上の横向き放物線が適当であろうと思われた。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1973-07-25
著者
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