林木の葉のSLAに関する研究(II) : シラカンバ模型林における葉の比面積と季節・庇陰の関係
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概要
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前報に続き照度と比面積の関係を調べた。シラカンバの模型林から細かい間隔でサンプルをとり照度と比面積を下記の式log SLA(cm^2/g)=-blog RLI(%)+logaに回帰させて季節変化等を調べ, 庇陰格子下個体群も解析し以下の知見を得た。1)回帰線は高い有意性をもって成立し, 係数の季節変化は中凹の曲線となる。比面積にも季節変化はあり, 春の値は秋の値の2倍程度である。また庇陰個体最上層の比面積と照度の回帰線も高い水準で成立し, 値も季節変化の傾向も裸地林の場合と矛盾しない。2)林分生長に伴ないある一定の地上高をもつ層の位置は相対的に下がるが, その層の照度と比面積を時期方向に追跡して式にあてはめてもきれいな関係になることから, 比面積の照度に対する反応は早く, かつ厳格なものといえる。3)庇陰下個体群の回帰線の傾きは庇陰程度によらず同じ傾向をもつが, 庇陰程度が強いほど上方に平行移動した線群となり, 移動量と個体群に与えた庇陰の程度は両対数直線のきれいな関係を示す。またこの関係には季節差があり, 秋には移動量は殆どなくなる。4)庇陰個体群では低照度下で比面積の値の収束が認められる。5)高照度下では比面積が回帰線より離れて急に落ち込む現象が認められ, これをオチコミ現象と名づけた。それはこの現象には多くの特徴があるからであるが, 特にこの現象の開始点の照度は驚くほど値がそろっており, 70%照度からである。
- 1972-06-25
著者
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