環境諸害に対する林木組織の反応 : トドマツ樹皮組織の反応を中心にして
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概要
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アブラムシや病原菌の寄生, 異常気象や機械的傷害など, 環境要因に対する林木組織-主としてトドマツ樹皮-の反応について解剖観察を行なったところ, つぎのような反応が観察された。すなわち, 樹皮部では, 1)癒傷周皮(wound periderm)の形成, 2)コルク形成層および維管束形成層の異常な活動や柔細胞自身の異常な自己増殖による柔細胞の顕著な発達, 3)樹脂道内へのエピセリウム細胞の異常な発達, 4)内樹皮外層部での油細胞や厚膜細胞の増加など, また材部では, 1)傷害樹脂道や傷害輪の発達, 2)放射柔細胞の異常肥大および仮道管の異常肥大や配列のみだれなど, 多様な反応が観察された。そして, その反応はきわめて速やかに行なわれるものと思われた。これら林木組織の多様な反応は, 生物的あるいは非生物的な要因それぞれに対して必ずしも特徴的なものでなく, とりあげた要因すべてに対してほぼ共通のもののように観察された。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1972-09-25
著者
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