九州地方のヒノキ精英樹選抜育種事業の経済性に関する分析
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概要
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九州地方のヒノキ精英樹クローン採種園から生産される育種苗による林分収穫量の増加分を金員収穫量に換算した値と育種事業における精英樹選抜, 採種園造成, 種子生産および次代検定に要する経費の総額とを比較して, この事業の収益性を検討した。割引利率法を用いた計算によると, 採種園での種子生産量を15kg/ha, 金員収穫の増加額を100万円/haとした場合の内部収益率は7.6%になり, この事業に投資される経費はかなり高い利率で引き合うものと試算される。さらに, その収益性は, 内部的要因, すなわち採種園における着花結実年齢の引き下げ, 種子生産量および種子1kg当たりの得苗本数の増加とともに, 立木価格, 材積増加量, 施業法および造林面積のような外部的要因に強く左右されることを明らかにした。そして, 採種園の取扱いを改善することによって, 内部収益率は9%に達する見込みはあるものの, 今後, 林業の経営環境がより悪化すれば, 6%程度にまで低下する可能性もあることを定量的に示した。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1987-11-25
著者
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