マツノザイセンチュウ抵抗性マツの次代検定林における7年次の成長と生存率
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概要
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日林誌84:188〜192,2002抵抗性育種事業で選抜された母樹由来の苗に,材線虫を接種して生き残った「抵抗性マツ苗」をマツノザイセンチュウ抵抗性次代検定林として設定している。抵抗性マツ苗の造林初期における成長と苗畑接種による選抜の有効性について明らかにするため,2カ所の検定林を使って造林活着率,造林後7年次の成長,生存率ならびにマツノマダラカミキリ成虫の食害痕の有無について調査を行った。造林活着率は90%以上と良好であった。両検定林における7年次の成長は樹高,直径ともに家系間差が認められ,熊本県における10年次のマツの主林木平均を上回っていた。マツノマダラカミキリの食害痕はおのおのの検定林の56.7,34.2%の個体で確認された。食害痕率はアカマツの方がクロマツに比べて高い値なり,樹種間差が認められた。7年次の生存率は両検定林とも大半の家系が90%程度であったが,70%台の生存率の低い家系も5家系存在した。7年次のカミキリ食害の多い家系の生存率は各検定林の平均生存率とほぼ等しいことから,材線虫を接種して生き延びた苗は遺伝的に抵抗性の高い個体が残っていることが示唆された。
- 2002-08-16
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