スギ外向鈎形針葉の次代交配家系における分離
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概要
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針葉が短く, その先端が外側に鋭く鈎形に曲がる異常形態, 「外向鈎形針葉」の個体(Cr-54)を花粉親に用いて, 正常針葉を示す雌親との交配を行い, 外向鈎形針葉形質が優性遺伝子に支配され, 複数の遺伝子が関与している可能性を報告した。本報では, Cr-54の自家受粉, Cr-54と正常な針葉を示すクローンとの正逆交配および正常な針葉を示すクローンの自家・他家受粉を行い, 次代家系における形質の分離を調べた。Cr-54の自家受粉家系では, 外向鈎形針葉苗と正常針葉苗が9 : 7に近い割合で分離した。Cr-54と正常な針葉を示すクローンとの正逆交配では, すべての家系で外向鈎形針葉苗が出現し, 多くの家系で外向鈎形針葉苗と正常針葉苗の分離が1 : 3の割合であった。正常な針葉を示すクローンの自家・他家受粉の家系では, 外向鈎形針葉苗は出現したかった。外向鈎形針葉形質の発現が1個の優性遺伝子に支配されていると仮定したとき, 観察された分離比を説明することができなかった。そのため, 遺伝子座を異にした2対の遺伝子間の働き合いによる遺伝様式を模索した。その結果, 外向鈎形針葉形質の発現は互いに補足遺伝子として働く2個の優性遺伝子が関与し, Cr-54は, この非対立の遺伝子が共存する二重ヘテロ接合体と考えたときに観察された分離比を説明することができた。
- 日本森林学会の論文
- 1981-11-25
著者
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