キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)のスギ苗にたいする寄生性および加害性
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概要
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Pratylenchus penetransのスギ苗にたいする寄生性および加害性を明らかにするため, コンクリート製マイクロプロットを使用し, 同一試験区において3年間継続して接種実験を行なった。1年目はまきつけ苗にたいする接種, つづいて2年目の苗木について, 3年目はふたたびまきつけ苗について高い密度での接種によりそれぞれ苗木の生育におよぼす影響, 線虫密度の消長をしらべた。苗木生育のごく初期における根組織内の侵入線虫数は, 接種頭数に対応していた。は種後約1ヵ月における侵入線虫は, 1年目の場合3頭, 3年目の場合95頭であり, 後者ではより大きな影響が苗木の生育にあらわれた。線虫の密度消長は, 1年目と3年目でほぼ同様な傾向であった。6月の後半に一つのピーク, 7月から8月にかけての密度低下, その後ふたたび上昇というカーブがしめされた。1根系当たりの線虫数は, 根系の発達にともなってふえていったが, 7月から8月にかけて一時減少したことは特徴的であった。苗木の生育は, 線虫の寄生により影響をうけた。根系は貧弱となり, 2年目の床替でその影響がいっそう大きくあらわれた。線虫密度のとくに高い場合には被害も顕著で, 根は褐変腐敗して失われ, 地上部の生長もとまり, また枯死苗もでた。根の組織解剖学的観察の結果, P.penetransは皮層を生活の場として摂食活動, 産卵・増殖を行ない, 根の先端近い部分では中心柱へも侵入することが明らかとなった。なお線虫の寄生により皮層には空洞ができる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1970-02-25
著者
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