マツカレハの細胞質型多角体病とその応用(予報)
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概要
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昆虫の流行病々原体のうちで, 寄主に対して強い選択性をもつているものはウイルスである。細胞質型多角体病ウイルスは中腸の円柱状細胞質のみをおかす特殊なウイルスである。筆者は1956年1月マツカレハにこの細胞質型多角体病の寄生することを発見した。このウイルスは細胞質に多角体を形成することと, 多角体内の粒状分子の存在によつて, Smithiavirusに属するものと考えられる。本病原ウイルスは, マツカレハおよびツガカレハに対して病原性が大で, その他の昆虫は犯さない。またこのウイルスは他の糸状菌, 核型ウイルス, バクテリア, およびブロトゾア等と共働感染を行なう機構をもつている。このウイルスは多角体中にあるため, 紫外線や乾燥等に対しては他の病原体に比べて抵抗性をもつており, かつマツカレハの各虫態において感染発病する点で, マツカレハの微生物的防除に役立つものと考えられる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1961-03-25
著者
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