国民の森林という視点からみたアメリカ国有林
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概要
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アメリカ国有林は1891年の保留林法以来, 公的機関による森林資源の管理経営において独自の展開をみせてきた。本研究は, アメリカ国有林管理の歴史的な変遷を概観し, 国民の森林という観点からその果たしてきた役割を論じようとするものである。1907年, 森林局初代長官ピンショーは保留林を「国有林(National Forest)」と改称したが, この命名の真の意味は「国立保全林」であるという仮説を提唱し, そこで基軸となる賢明な利用という考え方が近年に至るまで継承されてきたことを論じた。さらに, アメリカ国有林のこれまでの歴史を, 1)資源保管的森林管理の時代, 2)木材生産中心の森林管理の時代, 3)生態系中心の森林管理の時代, という三つの時代に区分し, 法律学における公共性の概念を援用して, それぞれの時代における国有林と国民との関係性の分析を試みた。また, 1990年以降の生態系中心の考え方が, ピンショーの功利主義からレオポルドの思想への転換であるのかについても言及した。最後に, エコシステムマネージメントの将来展望を行い, 国民の森林を実現するには, さらに多くの努力が不可欠であることを示した。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 2001-08-16
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