分収造林契約のミクロ経済分析(II) : 基本モデルの拡張
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概要
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本論文は以前の報告における想定をより現実的なものに変更して、分収造林契約の特質を森林資源の効率的利用の観点から検討した。ここで考察の対象となる分収造林契約とは造林地所有者と造林者を契約当事者とするものであり、また造林者を公的機関と見なしている。本論文で分析されたのは次の二つの場合である。1)林地所有者が用いる割引率よりも公的機関が用いる割引率が小さい場合。2)森林の外部性が存在する場合。以前の結果とは異なり、いずれの場合においても契約が行われる伐期齢と分収率は一意的ではなくなる。しかし、依然として、社会的に最適な伐期齢での契約は可能である。また森林の外部性が存在する場合、公的機関が分収造林契約によって得られる便益を最大にするように行動することは森林資源の効率的利用とは一致しないことを明らかにした。結論として公的機関が社会的最適伐期齢での契約を林地所有者に提示する限り、分収造林契約は森林資源の効率的利用を実現するための一つの有効な政策手段となる。したがって造林者としての公的機関の役割は重要である。
- 1995-03-01
著者
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