等高線にそった帯状伐採が渓川流出に及ぼす影響(I) : 温暖期の長期流出特性について
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概要
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森林総合研究所宝川森林理水試験地の1号沢流域を対象に、伐採面積率で52.5%の等高線にそった帯状伐採を実施し、伐採前後の気象・水文特性を比較検討することによって、帯状伐採が温暖期(6〜10月)の長期的な流出に及ぼす影響について解析を行った。その結果、帯状伐採直後から流出量は増加傾向を示し、温暖期の平均流出率は21.1%から35.0%へと増えていることがわかった。流況曲線の解析から、帯状伐採後は伐採前に比べて平・低・渇水流出量の期間流出量に占める割合が大きくなることが認められた。帯状伐採による流出量の量的な変化は森林の蒸発散量の変化によるものであるが、短期水収支法による蒸発散量の解析から、温暖期における蒸発散量は帯状伐採によって平均で66.3mm減少すると算定された。またこの値は、条件の異なる他地域での測定例との比較であるが、温暖期の皆伐による蒸発散の変化量の43%に相当することが示された。
- 日本森林学会の論文
- 1994-09-01
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