等高線にそった帯状伐採が渓川流出に及ぼす影響(II) : 温暖期の短期流出特性について
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概要
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森林総合研究所宝川森林理水試験地の1号沢流域を対象に、伐採面積率で52.5%の等高線にそった帯状伐採を実施し、伐採前後の流出特性を比較検討することにより帯状伐採が温暖期(6〜10月)の短期的な降雨流出に及ぼす影響について解析を行った。その結果、帯状伐採により直接流出量は流出率(直接流出量/一連続降水量)で6〜13%の増加が認められた。一連続降水量が100mmを超える場合のピーク比流量は、伐採前に比べて伐採後で1.16〜1.41倍となった。これらの値は皆伐試験による値と比較して小さな値となることが示された。ハイドログラフの減水曲線の解析では、帯状伐採後の減水係数の値が伐採前と比較して小さくなり、初期流量を2.Omm/日とした場合の無降雨時の流出蟹は10日間の総量で2.2mmの差となった。また初期損失雨量の平均を求めると、帯状伐採前は先行降雨のある場合5.9mm、ない場合13.Ommであり、伐採後は先行降雨のある場合5.2mm、ない場合10.6mmであった。初期損失雨量は帯状伐採によりわずかであるが小さくなることが認められた。このような流出特性の変化には森林植生の減少にともなう降水遮断量、蒸発散量の減少および土湿条件の変化が密接に関係していると推察された。
- 日本森林学会の論文
- 1994-11-01
著者
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