スギ林表層土壌の無機態窒素の動態に及ぼす皆伐の影響 : 枝条除去と枝条散布の比較

概要

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76年生スギ(Cryptomeria japonica D.DON)林下の褐色森林土の表層土壌中の無機態窒素濃度を皆伐前後で測定し、窒素の動態に及ぼす皆伐と枝条除去または散布処理の効果を斜面上部と下部とで比較した。皆伐前の極端な乾燥期間および皆伐後1年目には硝酸態窒素が増加し土壌pHが低下した。このとき無機態窒素の70%以上は硝酸態窒素であった。この傾向は枝条除去、散布の両処理区で認められたが、皆伐後の無機態窒素の増加は枝条散布区の方が除去区より小さかった。皆伐後2年目から、すべてのプロットで、無機態窒素濃度は年間を通して低濃度で推移した。これはこの年から急速に繁茂した雑草木類が窒素を吸収するためと考えられた。皆伐後2年から硝酸態窒素の割合は24〜41%まで低下し、土壌pHは徐々に上昇した。枝条は表層土壌の窒素の消失を防ぐ効果や、植栽初期の苗木の成長を促進する効果はなかった。しかし、伐採後、養分の低下した土壌に対し、養分を供給する働きをもつ意義があると考えられた。
1994-05-01