二次林の樹種の成長と樹冠の光環境
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概要
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複数の葉層が存在する二次林において, 各出現樹種の総樹冠体積, その光環境および胸高断面積合計の成長速度とそれらの相互関係を調べた。森林の縦断面図上では相対照度の等値線の位置は葉層の地上高の変化に応じて空間的に変化しており, 第1葉層(最も上側の葉層とその下の第2葉層との境界の相対照度の値はおよそ10%であった。すべての種は, その樹冠の属する光環境によって大きく二つのカテゴリーに分類できた。樹冠が相対照度10%以上に属する陽樹冠極(the Sunlit species)と, 10%以下に属する陰樹冠種(the shaded species)である。各樹種の胸高断面積合計, ((胸高直径)^2×樹高)の総和, および胸高断面積合計の成長速度は, それぞれの樹冠体積との間に強い相関を示した。しかし, これら変数間の関係は陽樹冠種と陰樹冠種とで異なっており, 樹冠体積がほぼ同じ樹種どうしを比較すると, 陽樹冠種の成長速度が大きかった。したがって, 種の胸高断面積成長速度は, 樹冠の体積と光環境との両方に関連があった。樹木の成長に対する樹冠の光環境の役割に関連した問題をさらに考察した。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1993-07-01
著者
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