広範囲同種気管移植における二重気管の有用性に関する実験的検討

概要

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広範囲気管移植の場合, 大網被覆を用いても気管の虚血により気管狭窄をまねきやすい。広範囲気管移植における狭窄を予防する目的で, 二重気管を作成し, その有用性について検討した。雑種成犬を用い, 内側7軟骨輪, 外側5軟骨輪の気管より成る二重気管を作成し, 気管10軟骨輪を切除後のレシピエントに移植した。A群は(n=3)一重気管群(7軟骨輪), B群(n=5)は二重気管移植群とした。気管支鏡による肉眼的観察, 蛍光内視鏡による気管粘膜血流量の評価, さらにHEおよび免疫組織化学染色を行い両群の比較検討を行った。その結果, A群では, 全例気管中央部に狭窄が認められたが, B群では, 全例移植気管は生着し気管狭窄は認められず, 蛍光内視鏡により気管中央部にも良好な血流の再開が観察された。またHE染色において, 線毛円柱上皮の再生が認められた。さらに免疫組織化学染色の所見より, A群における移植気管の狭窄は虚血に基づくものと判明した。以上より広範囲気管移植に二重気管応用, 虚血に基づく気管狭窄を回避しうる可能性が示唆された。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1998-01-25