中枢気道に発生した粘表皮癌, 腺様嚢胞癌, カルチノイドの気管支鏡所見の検討

概要

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今回我々は気管支鏡可視範囲に発生したlow-grade malignant tumor自験例について, 気管支鏡所見の検討を行った。症例は粘表皮癌2例, 腺様嚢胞癌3例, カルチノイド2例の計7例である。発生部位は気管1例, 0次気管支2例, 1次気管支2例, 2次気管支2例であった。粘表皮癌, カルチノイド, および腺様嚢胞癌の1例はポリープ状の発育を示し, 周囲粘膜の変化はないか, あっても軽度の2次性炎症性変化のみであった。腫瘍表面は正常粘膜に被覆され平滑な腫瘤の形状を呈しており, 気管支内良性腫瘍との鑑別を要する内視鏡所見であった。一方, 腺様嚢胞癌の2例は強い粘膜下浸潤の傾向を示し, 周囲粘膜には発赤, 浮腫, 毛細血管怒張, 軟骨輪の消失などが認められた。また, ポリープ状発育を示す他の腫瘍と異なり, 長軸方向への発育, 進展が顕著であった。これらの内視鏡所見は小細胞癌, あるいは腺癌の粘膜下浸潤型との鑑別が困難であると考えられた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1991-01-25