喀痰細胞診集検発見肺癌例の検討 : 殊に早期扁平上皮癌の内視鏡的診断と治療について

概要

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1981年からの8年間岡山県北部の農村地域で高危険群を対象に, 延945人に対し3.526検体の喀痰細胞診集検を行い, 2例の上皮内癌を含む3例の肺門型早期扁平上皮癌と1例の進行癌を発見, 手術した。早期癌例は総て健在である。喀痰検診を効果的に行うには対象の高危険群を厳重に絞り込むことが必要である。その結果判定されたD群から後に肺癌が発生しており, D判定例は初回内視鏡時に異常なくても6か月後の細胞診および内視鏡による追跡が必要である。内視鏡診断では早期癌発見の為には特にspurの粘膜の蒼白・不透明化や肥厚・凹凸不整・粘膜襞の消失などの観察が重要である。62歳男・右B^1とB^3のspurに径2mm大の軽度隆起型上皮内癌を認め, 鉗子生検後の切除標本で腫瘍を認めなかった。このような鉗子切除で腫瘍が消失した本邦報告例をみると, 内視鏡的治療としての鉗子切除は亜区域支までのspurに限局した隆起型の微小癌に限り試みて良いと思われる。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1990-05-25