統合的手法を用いた手書き文字切り出しと認識の研究

概要

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本論文ではより実用的かつ高い性能を持つ文字認識系を実現するため, 統合的手法を用いた手書き文字の切り出し法・認識法を提案した.接触文字を含む文字認識の研究は, 英数字を中心に研究が進められてきたが, 手書き漢字のような複雑なパターンを切り出す手法は知られていなかった.本論文では, 接触を含む漢字パターンを対象とし, 文字認識との協調なしに文字単位で切り出す手法を提案した.提案手法を実現し, 文字接触が含まれるパターンを対象に性能評価実験を行い, 人間の解答と照合した結果, 約64%で適当な切り出しに成功した.さらに, 人間の目による処理結果評価では, 約75%の接触パターンを認識可能なパターンに切り出すことに成功した.また, 最近音声等で高い認識性能が示されたHidden Markov Model(HMM)を文字認識に効果的に適用する手法を提案した.現在までに, 1次元, 2次元HMMを利用した手法が報告されているが, 低認識率やモデルパラメータ膨大化の問題のため, 既存手法は, 実用化が困難である.本論文ではHMM文字認識系をより効果的に実装する手法として, 「多方向の特徴抽出を行った複数の1次元HMMを組み合わせて認識系を構築する手法」の提案, 「Bagging法」のHMM認識系への適用を行った.前者を実現し検証したところ, 少ないパラメータで高い性能を発揮する認識系の構築に成功した.後者は, 厳密なBagging法, HMMの特性を反映したVoting法を提案, 実装し, 実験により効果を実証した.以上から本論文で提案した手法は, オフライン文字認識において, 従来の手法と比較して実用レベルで高い認識性能を実現可能にするものと考える.
社団法人人工知能学会の論文
2000-11-01

統合的手法を用いた手書き文字切り出しと認識の研究

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