日本における喫煙問題の構築(「構築主義の挑戦-日米誌上シンポジウム」)
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概要
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本稿は, 日本における喫煙問題の社会的構築について, アメリカ合衆国のそれと比較するかたちで考察したものである.アメリカ合衆国では, 1960年代初頭にタバコのテレビコマーシャルが禁止されたのをはじめとして積極的な規制策が講じられ, 喫煙行動の逸脱化が進められたのに対し, わが国ではタバコ製造販売が長年にわたって専売制度のもとで行われ, 民営化後も大蔵省の管轄のもとにあり, 厚生省による積極的な取り組みが躊躇されてきた.アメリカ合衆国の反喫煙団体が財政的に豊かに組織化されてリーガルアクションを主要な戦略とするのに対して, わが国の反喫煙団体はむしろボランティアによって担われており, 経済的に脆弱でクレイム申し立ての機会も限定的である.なお, 統計数値がどのように構築されるのかは非常に興味深いトピックではあるけれども, 社会問題の構築に関する国際比較研究においては, 自然言語を共有しない人々や異なる社会における特定の社会問題に関する知識を持たない人々に対して, 社会問題の状況とコンテクストについて説明する際に, 統計数値へ言及することは有意義な方法の一つであると思われる.(本稿では, ホルスタインとグブリアムによるコメント論文で言及されている, 喫煙, 政府・行政の対応および反喫煙運動に関する検討を中心に記述し, 喫煙に係わるレトリックの分析については別稿に譲ることとした.)
- 日本犯罪社会学会の論文
著者
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