〈被害者〉というレトリック : 東京都における***処罰規定制定過程から(「構築主義の挑戦-日米誌上シンポジウム」)
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概要
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この論文では, 「***」と呼ばれる現象の社会問題過程の一端を社会構築主義的に記述する.このカテゴリーにかかわる女子青少年がどのように位置づけられたのかに注目する.中心的にとりあげるのは, 東京都議会における「***処罰規定」制定の是非を都青少年問題協議会に諮問するかどうかが論じられた場合である.マスメディアに登場し, 人々の注目を集めたこの現象は, 東京都では青少年条例の改正運動を促し, 「***処罰」規定制定に関して賛否両陣営から例を見ない大量の陳情書・請願書が都議会に提出され, ***処罰規定を設けないという従来の都の方針の見通しが図られた。***処罰で彼女らを被害者とすることで「問題」の解決をはかるクレイムが議会で展開され, 議会の審議の過程では「少女を守るために***処罰を」という賛成派と, 「***処罰は少女をも傷つける.必要なものは教育である」という反対派の応酬がみられた.いずれにせよ, 少女を「被害者」と位置づけるレトリックであり, ある種の「被害者コンテスト」(Holstein and Miller 1990)が観察された。他方, 大阪府警は「***は***です」とのキャンペーンをはり, ***の相手方を求めた***を***防止法違反とし逮捕した.この場合は***にかかわる女子青少年は被害者としてではなく, 公共の秩序に対する「加害者」として位置づけられている.すなわち, ある現象を「逸脱」ないし「社会問題」と位置づけるに際し, それにかかわる者を「被害者」とする問題化と「加害者」とする問題化の双方が同時に観察されたのである.
著者
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