分子表面データ間の距離を利用した効率的類似蛋白質検索方式
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概要
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蛋白質の機能は局所的な表面部位(活性部位)における形状や物性によって決定されることが知られている.このような背景から,機能未知な蛋白質の分子表面に対して既知の活性部位群から類似した分子表面が存在するかを調べることで,機能を予測することが可能である.現在,既知の活性部位は数千個存在するため,すべての活性部位と逐一類似性を評価するのは非効率的である.そこで本論文では,分子表面データ間の距離を定義することで,効率的に類似蛋白質を検索する手法を提案する.2つの蛋白質の分子表面上の頂点を1対1に対応付け,各頂点間距離の差の総和を求め,その総和が最小となる頂点の対応が求まったとき,その値を分子表面データ間の距離と定義する.ここで,頂点の対応付けの組合せを網羅的に調べると膨大な計算時間がかかることから,対応スコアを導入することで初期対応を求め,頂点ペアの交換により分子表面データ間の距離の改善を行う.各々の分子表面上の2頂点の相対位置関係が類似する頂点ペアに高い対応スコアを与える.この分子表面データ間の距離を利用して,類似する可能性のない検索対象を三角不等式を用いて除外することで検索の効率化を図る.提案した類似蛋白質検索方式を,実際の酵素蛋白質データに適用した.その結果,検索が効率的に行われ,従来手法よりも機能予測精度が向上したことから提案方式の有効性が確認された.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2003-03-15
著者
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