イネごま葉枯病に関する病理解剖学的研究 : IV. 感染による葉緑体の微細構造変化
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概要
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本論文はイネ葉の葉緑体の微細構造およびごま葉枯病菌の侵害によって生じた葉緑体の形態的変化を電子顕微鏡によって観察した結果である。健全なイネ葉の葉緑体は, 縦断面においては二重構造の葉緑体膜によってつつまれており, 葉緑体内部のラメラ系は一定の層状構迭を呈するグラナラメラとグラナラメラから派出しているインターグラナラメラからなっている。グラナラメラの厚さは約10mμで, インターグラナラメラ(厚さ約5mμ)のちょうど2倍である。病原菌接種後50時間では, 葉緑体は1.5-2倍に膨潤し, 楕円体から球形に変化し, 葉緑体膜の二重構造は部分的に破壊され消失する。またラメラ系の層状構造はその最外部のラメラの間隔が拡大し, 内部に基質のない小胞状に変性する。一方, 接種100時間後においては, 菌糸に接近している葉緑体はラメラ系の小胞化をきたし, その変化は葉緑体膜の近くの層状構造から, 漸次内部の層状構遣へと進み, 葉緑体は直径0.1μから0.5μの多数の小胞に変化して崩壊する。
- 日本植物病理学会の論文
- 1970-01-30
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