ホワイト・クローバ・モザイクウイルスに関する研究
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概要
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1958年,盛岡で罹病ラジノクローバから1つのウイルスを分離した。このウイルスは汁液接種で容易に伝搬され,レンゲ,ナタマメ,クロタラリヤ,スイートピー,インゲン,エンドウ,アルサイククローバ,クリムソンクローバ,レッドクローバ,サブクローバ,ソラマメ,コモンベッチ,ヘァリーベッチ,ササゲなどを全身的に侵した。フジマメ,アルファルファ,キバナルーピン,アズキ,ヤエナリ,スイカ,キウリ,マルバマアサガオ,キンギョソウ,トマト,ダチュラ,フィザーリス,ペチュニア,Nicotiana rutica, N.sylvestris などの接種葉からは本ウイルスが回収できた。これらのうち,ヤエナリおよびスイカの接種葉には常に壊死斑点を生じた。また,タバコ,グルチノーザ,ビート,ホーレンソウ,センニチコウおよび Chenopodium amaranticola には感染しなかった。本ウイルスは汁液のほか低率ながらマメダオシで伝搬された。しかしマメヒゲナガアブラムシ,マメアブラムシおよびモモアカアブラムシでは伝搬されなかった。耐熱性,70〜75℃10分,耐希釈性は10万〜100万倍であり,耐保存性は25℃で60〜90日,室温(18〜20℃)では91日以上であった。Dip法による電子顕微鏡観察で長さ約450mμ前後のひも状粒子を認めた。罹病植物の表皮細胞内には特異な隅体(Corner inclusion body)が観察され,罹病エンドウの超薄切片の観察によって,細胞内にウイルスの集団らしきものを認めた。本ウイルスはカナダのWhite clover mosaic virus 抗血清との間に明らかな沈降反応を示した。寄生範囲,病微,伝搬方法,物理的性質,ウイルス粒子の形態および血清反応などから考察して,本ウイルスは,アメリカ,ニュージーランドおよびヨーロッパ各地で報告されたWhite clover mosaic virus のグループに属すると同定した。
- 日本植物病理学会の論文
- 1965-01-30
著者
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