ジャガイモ疫病菌菌体より抽出したサプレッサーグルカンの純化とその特性
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概要
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ジャガイモ疫病菌の過敏感反応サプレッサー(抑制因子)を2種類の異なったレースより抽出し, HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により精製した。サブレッサー活性をもつ分画は, 親和性菌, 非親和性菌ともに分子量(Mr)4,700と280の成分であった。これらの成分をジャガイモスライス切片(直径, 14mm)に滴下処理したあと, 非親和性菌遊走子を接種して, ファイトアレキシン(PA)生成なマーカーとして活性の強さを調べた。HPLCにより純化する前のグルカン成分と, 両レースのMr4,700とMr 280のサプレッサー分画は, 12.5〜50μg/diskの濃度ではレース間で統計的に有意の差は示さなかった。以上の結果から, 疫病菌の分子量の異なった本グルカン2成分が, レースにかかわりなくサプレッサー活性を有することが示唆された。標準糖と本サプレッサー成分のTLCによる解析の結果, Mr280の成分はグルコースモノマーとRf値が近似した。また, HPLCにより遊走子発芽液中にMr280の成分が検出されることから, 感染初期の過程において機能している可能性が示唆された。
- 1990-10-25
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