ペフラゾエートに対するイネばか苗病菌の感受性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
全国各地のイネばか苗病罹病種子からばか苗病菌518株を分離し, ペフラゾエートに対する感受性を検定したところ, MIC値は0.78〜12.5ppmの範囲にあった。ペフラゾエートと同様にエルゴステロール生合成阻害剤(EBI)であるトリフルミゾールの場合に報告されている低感受性菌(MIC>1,000ppm)の存在は認められなかった。しかし, 両剤に対する本菌の感受性傾向は類似しており, トリフルミゾールに低感受性の菌株はペフラゾエートでも感受性が低かった(MIC6.25〜12.5ppm)。一方, ばか苗病菌の薬剤感受性をEBIおよびベノミルとの関係でみると4タイプに分類された。すなわち, (I):EBIに感受性でベノミルにも感受性の菌株, (II):EBIに感受性でベノミルに耐性の菌株, (III):EBIにやや感受性が低くベノミルには感受性の菌株, (IV):EBIにやや感受性が低くベノミルにも耐性の菌株であり, おのおのの分布比率は, 8.5, 83.0, 8.1および0.4%であった。これら菌株のジベレリン産生およびフザリン酸産生について検定したところ, (I), (II)および(IV)の菌株はジベレリンを産生したが, (III)の菌株はいずれも非産生株であった。フザリン酸の産生は全菌株で認められ, 薬剤感受性との間に明らかな相関関係はなかった。(IV)の菌株を人為接種した種籾をペフラゾエートで種子消毒したが, (I)タイプの菌株を接種した種籾の場合とまったく同様の高い効果を示し, in vitroでのMIC検定による感受性差は実際の種子消毒効果とは相関していなかった。
- 日本植物病理学会の論文
- 1990-10-25
著者
-
久津間 誠一
北興化学工業開発研究所
-
和田 拓雄
北興化学工業(株)開発研究所
-
竹中 允章
宇部興産(株)宇部研究所
-
和田 拓雄
北興化学工業開発研究所
-
竹中 允章
宇部興産株式会社宇部研究所
-
久津間 誠一
北興化学工業(株)
関連論文
- (216)イミベンコナゾール粉剤DLのダイズ紫斑病に対する防除効果(第2報)(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (2)テトラコナゾール連用散布圃場より分離したテンサイ褐斑病菌の薬剤感受性(北海道部会講演要旨)(平成15年度地域部会講演要旨)
- (5)ダイズ紫斑病菌のイミベンコナゾールに対する感受性ベースライン(関東部会講演要旨)(平成15年度地域部会講演要旨)
- (137) ペフラゾエート (ヘルシード^) のイネばか苗病菌に対する作用性 (日本植物病理学会大会)
- ペフラゾエートの抗菌特性および作用機作
- ペフラゾエートに対するイネばか苗病菌の感受性
- (212) UHF8615(ヘルシード)のイネばか苗病菌に対する抗菌性とジベレリン産生への影響 (平成元年度日本植物病理学大会講演要旨)
- (210) UHF8615(ヘルシード)20%水和剤のイネばか苗病に対する種子消毒効果発現機構 (平成元年度日本植物病理学大会講演要旨)
- (49) いもち病菌培養濾液中のレクチン様物質とその凝集活性 (昭和62年度地域部会講演要旨(夏季関東部会講演要旨)
- ペフラゾエート・フルジオキソニル・塩基性塩化銅水和剤(モミガード^C水和剤)のイネばか苗病種子消毒効果
- 種子殺菌剤ペフラゾエートの開発
- AT3 種子殺菌剤ペフラゾエートの開発
- ペフラゾエートのイネばか苗病防除機構
- (213) ベノミル耐性イネばか苗病菌に対するチウラムの抗菌性 (平成元年度日本植物病理学大会講演要旨)
- (251) カスガマイシンのいもち病菌菌叢生育に及ぼす培地条件について (昭和50年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (169) 新殺菌剤 UHF 8227の各種うどんこ病に対する防除効果 (昭和59年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- Pefurazoate で選抜したイネばか苗病菌変異株におけるイネへの病原力低下とジベレリン生合成の減少
- 2-[(2-フリルメチル)(イミダゾール-1-イルカルボニル)アミノ]アルカン酸エステル類および関連化合物の合成とイネ種子病害に対する防除効果
- ペフラゾエート光学異性体の合成とイネばか苗病菌に対する抗菌活性
- B104 DMI 殺菌剤、 pefurazoate に関する構造-活性相関
- A123 新規除草剤 UBH-820 の作用機構
- B307 N-(置換ピラゾール-4-イル)ピラゾール-4-カルボキサミドの合成と殺菌活性(2)(分子設計 生物活性 遺伝子科学 天然物化学,一般講演要旨)
- B306 N-(置換ピラゾール-4-イル)ピラゾール-4-カルボキサミドの合成と殺菌活性(1)(分子設計 生物活性 遺伝子科学 天然物化学,一般講演要旨)