N-(3', 5'-dichlorophenyl)-1, 2-dimethylcyclopropane-1, 2-dicarboximide の灰色かび病菌に対する抗菌作用についての形態学的研究
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概要
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S-7131 (スミレックス^<(R)>)は, 液体培地中で灰色かび病菌 (Botrytis cinerea) の菌糸生育および分生胞子発芽を著しく抑制した。致死濃度で処理したとき, 胞子および菌糸細胞の多くが破裂し, 細胞内容物を吐出した。低濃度では, 菌糸の節間が短縮し, 細胞は異常な膨潤を示した。この細胞の破裂は, 薬剤処理2〜3時間後からひき起されるきわめて初期の形態変化であった。この現象は, 生育菌糸で認められたが休止菌糸または2, 4-ジニトロフェノールで処理した菌糸では認められなかった。また, S-7131 処理した菌糸細胞は, 高張液中でも同様に破裂した。B. cinerea 菌糸のプロトプラストは, S-7131 の存在下で形態的に安定であり, また浸透圧ショック後位相差顕微鏡下で観察したところ, 細胞壁様の構造物を再生していた。以上の結果から, S-7131 は細胞膜や細胞壁に直接的に作用するのではなく, また細胞壁合成を阻害するのではないことが示唆される。したがって, S-7131は, おそらく何らかの代謝阻害の2次的な結果として細胞の破裂をひき起していると推察される。
- 日本植物病理学会の論文
- 1977-04-25
著者
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