イネいもち病菌のレース分布支配要因 : II レースC-1,C-3の関東51号型品種における増殖比較
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概要
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関東51号型品種のタツミモチとふ系69号, イネいもち病菌のレースC-1とC-3を用い, 親和性のある品種とレース間にレース分布を支配する要因があるかどうかを検討した。レース増殖に関与すると考えられる要因, すなわち, 感染に要する時間, 形成病斑数, 病斑の大きさおよび胞子形成量, レース間の競合のうち, 特に病斑当たり胞子形成量および混合接種した場合のレース分離割合の点で,品種とレースとの間に特異的関係が認められた。レースC-1, C-3の病斑当たり胞子形成量は, ふ系69号ではほぼ同等であるのに対し, タツミモチではC-1に比較してC-3の胞子形成量がきわめて少なかった。この差は, おもにタツミモチでのC-3の病斑がC-1に比較して著しく小さい事による。これは菌株の組合せいかんにかかわらず認められる一定の傾向で, タツミモチにC-3の病斑拡大を抑える要因のある事が推察される。これは培地上における胞子形成量とは無関係なもので,品種とレースとの特異的関係においてのみ認められるものと考えられる。また,レースC-1, C-3の混合液を両品種に同時に噴霧接種すると, ふ系69号では両レースほぼ同じ割合で分離されたのに対し, タツミモチではC-3の分離割合がC-1に比較してかなり低かった。なお, 両品種におけるレースC-3の感染に要する時間は, C-1に比較してやや短い傾向がみられた。親和性のある品種においても, レースの増殖比率が特異的に変わるなど, レース分布に影響を及ぼす要因のある事が明らかにされた。また, レース間の競合現象も, レース分布支配要因のひとつと考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1976-07-25
著者
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