オキソリニツタ酸耐性Burkholderia glumaeのイネにおける生存適応性
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概要
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オキソリニック酸(100μg/ml)に耐性を示すBurkholderiaglumae R1とR2をそれぞれオキソリニック酸含有ジャガイモ半合成寒天(PSA)培地とB.glumae Pg-4 (Pg-4)に浸漬接種後オキソリニック酸種子処理したイネ苗から分離した。R1は500μg/mlオキソリニック酸含有PSA培地で増殖し, EDTA含有PSA培地でも増殖した。一方, R2はEDTA含有PSA培地でオキソリニック酸に対して感受性を示したことから, R2の耐性化は細胞膜の薬剤透過性の減少によるものであることが示唆された。R1を浸漬接種したイネ種子を育苗したところ, オキソリニック酸を種子処理した苗では, 浸種後R1は著しく増殖し, 苗に激しい苗腐敗症の発病が認められた。一方, 種子処理を行わなかった苗ではR1の著しい増殖は認められず, 発病は軽微であった。Pg-4を浸漬接種しオキソリニック酸による種子処理をしたイネ種子を育苗したところ, 苗腐敗症の発病は軽微であったが, オキソリニック酸耐性株の菌数は総B. glumae菌数の10%を占めた。未発病苗を圃場に移植し, 出穂期にオキソリニック酸を処理し, その後Pg-4接種を行ったところ, オキソリニック酸耐性株はイネ体のみならず, 収穫もみからも検出されなかった (検出限界:1×10^2 cfu/g)。以上の結果から, B. glumaeオキソリニック酸耐性株は育苗時に出現するが, 耐性株が多量に感染した種子をオキソリニック酸による種子処理した苗でのみ, 耐性株は著しく増殖し, イネ苗腐敗症の発病をひきおこすこと, および耐性株の圃場における生存は困難であることが明らかとなった。
- 日本植物病理学会の論文
- 1998-06-25
著者
-
曳地 康史
高知大学農学部
-
奥野 哲郎
高知大学農学部生物資源科学科植物工学研究室
-
江上 浩
住友化学工業(株)アグロ事業部
-
小栗 幸男
住友化学工業(株)農業化学品研
-
江上 浩
住友化学工業株式会社アグロ事業部
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