線形フィルタのアプローチによる呼種別ATMセル損失率近似モデル
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概要
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本論文では, ヒルベルト空間理論に基づく線形フィルタのアプローチを, ATM (Asynchronous Transfer Mode) ネットワークにおけるセル損失率の近似問題に適用し, バースト長が一般分布 (バースト間隔は指数分布) である場合を近似可能な呼種別のセル損失率近似モデルを開発した. そのために, 本論文では, 以下の新機軸を導入した. (1) 大偏差原理により, バッファが十分に長いときに, 各呼種の待ち行列長の分布が指数分布によって張られるヒルベルト空間において漸近的に線形 (1次) 従属となることから, 各呼種の待ち行列長の分布に対する近似を, すべて同一の線形部分空間で行った. (2) 一般化されたEdgeworth展開を適用し, 呼種別の出回線溢れ率 (各呼種のセル到着率が回線の伝送速度を上回る確率) を, ニ項分布によって張られる線形部分空間への直交射影で近似した. これらの新機軸により, 呼種間でのセル損失率の相違は, バースト長の相違ではなく, ピークセル速度の相違のみから生じ, セル損失率が最悪となる呼種は, ピークセル速度が最大である呼種となることを示した. シミュレーションにおいても, 個々の呼種セル損失率曲線は, ほとんど平行となり, かつ, 本近似による最悪となる呼種のセル損失率は, 大部分が, シミュレーションの95%信頼区間に近い, 安全側の近似となった.
- 1998-01-15
著者
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