分散メモリ型マルチプロセッサシステムを用いた三次元X線CT像の再構成
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概要
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我々は, 撮影オブジェクトにコーンビーム状のX線を照射することによって得られた二次元プロジェクション像から, フェルドカンプの方法により三次元ボクセルボリュームを高速に再構成するシステムを開発した. 三次元CTの場合には従来の二次元CTに比べて次元数が1つ大きいため, データ量や演算量が膨大となり, 現在のワークステーションで再構成すると1〜2時間費やしてしまう. そこで, 今回我々は再構成プログラムが並列化しやすい構造を持っていることに着目し, 分散メモリ型マルチプロセッサシステムを使用することにより処理時間の短縮を図った. アプリケーションプログラムを移植し, 処理時間を実測してみたところ, 32PE構成の場合が最もバランスがとれており, この構成で256^3ボクセルの三次元CT像が約6分半で再構成できることが確認できた. ハードウェアは要素プロセッサに市販のDSPを用い, システムバスに標準VMEバスを用いるなど, 極力コストを抑えた設計となっているが, このような短期間に作製できる安価なマルチプロセッサシステムでもプログラムの並列化手法等, 並列処理の技術を適切に応用することによりワークステーションの10〜20倍の性能を達成することができた.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1997-09-15