(30)本邦で初発したカーネーションうどんこ病(新称)
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概要
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1999年5月に高知県土佐市で栽培されているカーネーションの葉,茎およびがくに,白い粉状のもので覆われ,商品性を著しく損なう病害が発生した.菌糸は葉,茎およびがくの表面を分岐しながら表生し,通常菌糸の片側から単純なこぶし状の付着器を形成する.分生子柄は菌糸から垂直に生じ先端に分生子を単生する.分生子は楕円形〜長楕円形〜円筒形で,大きさ30〜52×11〜20μm,内部にはフィブロシン体はなく,多数の顆粒状内容物および液胞を有する.閉子のう殻は観察されなかった.以上の形態的特徴から,本菌はErysiphe属の分生子世代であるOidium属Pseudoidium亜属に所属する菌であると考えられた.rDNA ITS領域の塩基配列では本菌はナデシコ科に発生するErysiphe buhriiに近縁で,Gypsophila属上の菌とは98.2%,Silene属上の菌とは98.9%の相同性を示した.以上から本菌をOidium dianthi Jacz(完全世代;Erysiphe buhrii U.Brawn)と同定した.本菌によるカーネーションの病害は未記載であるためカーネーションうどんこ病(Powdery Mildew of Carnation)としたい.
- 日本植物病理学会の論文
- 2003-02-25
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