(38)シキミ輪紋病(新称)とそれら病樹から検出されたフシダニについて
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概要
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シキミ(Illucium anisatum)は神・仏事等に供される常緑広葉樹で,広く自生,栽培される.本樹に輪紋,モザイク,えそなとのウイルス性病害が以前より各地で多発し大きな被害を生じ,病原は未詳である.そこで,千葉,静岡,愛媛産などの病樹でさらに調べた結果,以下の3種のフシダニが検出され,これらが起因と推定された.Aタイプ:3県産で主なフシダニは紡錘形で淡黄色.背甲前縁は3角形状で前方に突出し,背甲中央部はクサビ形に窪み,正中条は不鮮明.後体部には52〜55の環節を有す.背毛は極短.生殖口蓋はひし形で肋を有す.この他に,Bタイプ:愛媛産では紡錘形で淡黄色.背甲部は縦横の網目状条線を示し,明瞭な鋏角針を有し,背毛は短く,胴体部の環節にはこぶは無い.Cタイプ:千葉,愛媛産では紡錘形で乳白色,背甲部は台形状に隆起し,正中条は不鮮明,背毛は長く,生殖口蓋はひし形状でこぶを有し,主に葉腋に生息する.各フシダニは同定中である.本病は,Aタイプ単独,あるいはBタイプ,Cタイプらとの複合症の可能性もある.既往の知見も併せ,病名を新称したい.
- 日本植物病理学会の論文
- 2003-02-25
著者
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