テンサイそう根病ウイルスと Polymyxa betae Keskin の菌株との関係
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概要
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他報に報告した北海道のテンサイそう根病発生土壌から分離された宿主範囲の異なる Polymyxa betae 数菌株を用い, 種々の植物に接種を行なった結果, 本病の病原ウイルス(BNYVV)の伝搬はテンサイに寄生性のあるテンサイ, ホウレンソウ, Chenopodium murale 菌株に認められたが, テンサイに寄生性のないシロザ, アオビユ, スベリヒユ菌株には認められなかった。ウイルス保毒のテンサイ菌株はコアカザで増植することによってウイルスフリー化した。このウイルスフリー化株は汁液接種によってBNYVVを全身感染させたテンサイで増殖したとき, 再びウイルスを獲得した。BNYVVの感染性は室内で15年間風乾および湿潤でそれぞれ保存した土壌中でも P. betae の生存と共に保持されていた。さらに P. betae 休眠胞子および遊走子をBNYVV抗血清液に浸漬してもウイルスの感染性は保持されていた。BNYVV粒子は P. betae の変形体に接したテンサイ根の細胞質中, 未熟遊走子の液胞および原形質中に認められた。また本ウィルスは根の組織片を含まない休眠胞子塊の磨砕液から ELISA 法によって検出された。これらの結果から, BNYVVの伝搬は P. betae の系統とその菌が増殖した植物に依存していることが明らかになった。さらに本ウィルスは P. betae の菌体内に長期間保持されているが, 菌体内では増殖していないと考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1986-04-25
著者
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