テンサイの菌核病
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
夏期, テンサイ採種畑で開花期の花, 葉および茎に白色綿毛様菌糸を密生し, 軟腐症状を伴なう病害が発生した。病斑は暗緑〜淡褐色, 不定形を呈し, また罹病組織上にしばしば黒色そ糞状菌核を外生した。病斑からは Scterotinia sp. が高い割合で分離された。本菌は菌核, 子のう盤, 子のう, 子のう胞子などの形態および構造, 培養菌そう, 菌糸生育温度ならびに対峙培養した菌株間の菌糸反応などの生理的性質から, Sclerotinia sclerotiorum (Libert) de Bary と同定された。その子のう胞子を開花期のテンサイ地上部に接種すると, ほ場での発病と同じ症状がみられた。すなわち発病は初め花にみられ, ついで病斑から表面に伸び出した菌糸が周囲の健全な葉や茎をつぎつぎと侵して, 最後は花茎の大半が枯死した。一方開花していないテンサイでは茎葉の発病はほとんどみられなかった。子のう胞子は開花期のインゲン茎葉にも強い病原性を示したが, 開花前はほとんど発病がみられなかった。本菌によるテンサイ菌核病はこれまで根部病害としてのみ知られていたが, 本報告で子のう胞子による感染とみられる地上部病害の発生が明らかにされた。
- 日本植物病理学会の論文
- 1986-04-25
著者
関連論文
- Rhizoctonia solani Kuhn菌核を摂食するジャガイモクロバネキノコバエPnyxia scabiei (Hopkins)とテンサイ根腐病発生畑におけるその密度変動
- Colletotrichum dematium f. spinaciaeによるテンサイの炭そ病
- テンサイ花器(球果)に対する炭そ病菌の感染過程
- ジャガイモクロバネキノコバエによるテンサイ苗立枯病の抑止
- テンサイの菌核病
- 紙筒移植栽培で難病のジャガイモそうか病を回避する
- テンサイ褐斑病におけるカスガマイシン耐性菌の出現
- Polymyxa betae によるビートえそ性葉脈黄化ウイルスの伝搬