私の自然史科学論
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概要
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自然史科学は自然史を科学的に研究する自然科学である.そして, 古生物学は自然史科学の一研究領域である.自然科学の研究は大きく二つの側面から見ることができる.一つは研究をする(あるいは, した)人達によって科学的な成果が積み重ねられて学問が進歩するという見方であり, もう一つは研究内容が変革することによって学問が進歩するという見方である.両者は勿論切り離すことはできないし切り離してはいけないのだが, 自然科学の世界をどちらかに重点を置いて見ることはできる.前者のように見れば, 研究者の社会という側面が強く出て, 研究者集団の背後にある文化や制度や慣例やしがらみなどまでが研究者を通じて学問に影響する.だから前者の価値観に立てば, 研究者集団(例えば学会)では公平適切な考えの上に立った倫理に基づく運営が大切になる.後者の見方に立てば, 自然史科学では, 例えばプレートテクトニクスとか進化生物学の新しい発見のような学問の革命的な進歩が, 直接に知識の構成を変え研究者の価値観に大きな影響を与えている.それでは, 後者, 言い替えれば, 研究の内容の変革に重点を置いて自然史科学構成の変化と研究者(あるいは, 研究者集団)との関係を分析したらどうなるだろう.そのような科学観で見まわした世界がどんなものであるかを知ることは, 科学社会学まで巻き込んだ問題で, そう簡単に把握できるものではない.しかしこの変化は教育論や組織論や特に研究方法論に影響し, 今までとは相当違う科学観が生まれてきそうな気がする.ここでは, おぼろげに浮かんだイメージを紹介しようと思う.だからこれは勿論, まだまだ私論である.
- 日本古生物学会の論文
- 2003-03-20
著者
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