936. 駿河湾より産出する Krithe 属(甲殼類, 介形虫)の3種

概要

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駿河湾の表層底質試料(45地点)から, Krithe属の多数の標本が検出された。これらは背甲の形態学的特徴によって, 幼体から成体まで3つのシリーズに分類される。このうちの2つはK. sawanensis Hanai, 1959とK. antisawanensis Ishizaki, 1966に同定され, 残りの1つをK. surugensis n. sp.として記載した。3種は湾内でそれぞれ異なった生息深度と地理的分布を示す。K. sawanensisは湾全域の120-1, 350m深に分布するのに対して, K. antisawanensisは湾口域, K. surugensisは湾の東半部の共に150-650m深にのみ分布する。3種の分布パターンと海洋環境との関係を論じた。また, K. sawanensisは, 650-810m深に存在する貧介形虫帯(OBZ)によって2つの個体群に分断されている。これらの個体群間にみられる背甲サイズとVestibulumの形態変異は水温と溶存酸素量に起因すると考えられる。
1992-06-30