722. 愛媛県南部, 近永地域の宇和島層群から発見したイノセラムス化石
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概要
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四国西部宇和島東方近永地域に分布する宇和島層群相当層よりInoceramus yabei, I. teshioensis, I. uwajimensis等の多くの二枚貝化石を発見し, 近永地域にも宇和島層群と同時代の陸棚層が存在することが再確認された。これらの二枚貝は, ギリヤーク世から浦河世にいたるもので, 従来より報告されていた四万十層群プロパーからの宮古世前期のアンモナイト化石Chelonicerasを含めて, 生層序学的に地向斜相四万十層群(宮古世以前)と陸棚相宇和島層群(ギリヤーク-浦河世)が整合関係で累重することが明白となった。また, このことは, 地質調査によって解析された地層層序, 地質構造, 野外観察の結果とも調和的である。近永地域では.宇和島層群を堆積させた陸棚が, 張り出すようにして発達し, 地向斜相の堆積区は, 北側から徐々に埋めたてられるようにして消滅したとみられる。最近報告された四万十帯北縁部湯川地域の浅海層の存在(NAKAZAWA et al., 1979)に加えて, 上記の事実は, 四万十地向斜北縁部の構造発達史を知る上で, 極めて興味深い。
- 日本古生物学会の論文
- 1980-12-30