523. 栃木県葛生及び東京都産馬の歯の化石
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概要
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野間達郎が栃木県葛生大叫附近で得た哺乳類化石中に馬の下顎右側第一大臼歯一個があった。これは中国江西省広豊産現棲小馬の下顎右側第一大臼歯にかなりよく似ている。江西馬の頭骨は蒙古馬のそれとよく似ているが, 顴骨突起後部外縁に切込のない点及び後頭部に近い両側の外縁が直線的に走っている点が, 比較した四頭の蒙古馬の頭骨とは異っている。これは単なる変異かも知れないが, 江西馬を蒙古馬と決定するわけにもいかぬので, 本化石は暫くEquus sp.とした。東京都台東区蔵前の地下六米より得た化石の上顎左側第一大臼歯は, 蒙古馬, 北海道土産馬のそれに似ているが, 北海道土産馬が蒙古馬の変種或は品種である事が立証されぬ限り本化石は蒙古馬と決定するわけにもいかぬので暫くEquus sp.とした。地質時代は二者共に洪積世或は下部冲積世である。
- 日本古生物学会の論文
- 1967-06-30